レモンバーム(メリッサ)の蒸留水がアトピー肌にいいという話を聞いて、自分で育てて蒸留してみることにしました。
ドライハーブを買えば早いのですが、育てやすく料理にも使えてハーブティーにもなるということだったので、苗を買って育てようと思ったんです。
なお、シソ科の植物なので種からでも育てやすいのですが、かなり時間もかかりますし大量に苗が出来てしまうため、苗を1つだけ買ってきて育てるのがオススメです。
簡単に挿し芽で増やせるので、1苗買えば十分足ります。
この記事では、蒸留水やチンキ(エキス)、ハーブティーなどの効果効能、レモンバームの苗からの育て方、挿し芽での増やし方、チンキの抽出方法、蒸留水の作り方、化粧水の作り方などについてまとめていきます。
レモンバームの効果と効能
メリッサという名のハーブですが、日本では「レモンバーム」という名前で流通していることが多いです。
料理に使ったり、ハーブティーとしてもよく使われている植物です。
名前から柑橘類なのかな?と感じるかもしれませんが、シソ科の植物です。柑橘類ではないので、精油や蒸留水やチンキなどに光毒性はありません。見た目はミントに似ています(ミントも同じくシソ科です)。
香りはレモンっぽい香りなんですが酸味はありません。
ポリフェノール、タンニン、フラボノイドなどの成分を含み、ビタミンCも豊富です。
抗菌・殺菌・抗ウイルス作用があるので、ニキビケアや荒れた肌のケアにいいですね。
ロズマリン酸というポリフェノールには、過剰な免疫反応を正常に戻す働きがあるので、ヒスタミンが過剰に分泌するのを抑えてくれます。そのため、アトピーの方もよく使われるのでしょうね。
口唇ヘルペスにもいいそうですよ。
ハーブティーにして飲んだ場合は、アレルギーの改善や食中毒を防ぐなどの効能が期待できます。また、胃腸の消化不良にもよいとされています。
香り成分には抗うつ作用がありますので、心を落ち着けたい時や寝る前などに飲むといいですね。
デトックス効果もあるそうなので、レモンバームティーを飲むのを習慣づけてみるのもいいかもしれません。
苗から育てる方法。化学肥料は使わずに
レモンバームの苗は、ホームセンターや花屋さんなどで買うか、通販で買うことができます。私はホームセンターのコメリというところで買いました。
鉢の底に鉢底石をいれるか、鉢底ネットを敷いて、土を入れます。
真ん中に苗が入るくらいの穴を開けて、あらかじめ水を注いでおくと、失敗が少ないです。
市販の培養土を使う場合は、野菜用のものを使って下さい。食べても大丈夫な肥料が使われています。
私は去年野菜を育てた土に腐葉土を混ぜておいたものを使いました。チンキや芳香蒸留水として使うので、今後も化学肥料を使わないように育てていきます。
育ててみた感じですが、痩せた土でも問題なく育ってますので、肥料はあまりやらなくても問題ないかなと思います。
葉が黄色くなるなど元気がなくなって来て追肥したい場合は、有機肥料を使いましょう。発酵油粕などが使いやすいかなと思います(発酵させていないものは使わないようにしてください)。
ポットから抜いた苗を、根鉢を崩さずそのまま穴に入れて植え付けます。
植え付け後、鉢の下から水が出てくるまでたっぷりと水やりしてください。以上で植え付けは終わりです。
手入れと葉っぱの黒い点について
↑買ってきた時は、小さなポットにギュウギュウにたくさん芽が詰まっていました。
根元からどんどん新しい芽が出てきますので、混み合ってきた場合や、枯れた葉がある場合は取り除きます。
↑スッキリしました!
定期的に、葉をかきわけて枯れた葉を取り除くと、風通しも良くなっていいですよ。
次は、黒い点が葉っぱに出た時の対処法です。
↑レモンバームの苗を買った時に、葉っぱに黒い点々がありました。
これは根詰まりが原因です。小さなポットにギュウギュウ詰めになっていたので、根っこが詰まってしまってました。
余りに黒い点が多い葉は取り除き、大きな鉢に植え替えてしばらくすると、黒い点も出なくなりました。
↑こんな感じで、青々と元気に育っています。
水のやりすぎで根が腐った場合や、葉が多すぎて蒸れた場合も同じように葉が黒くなる症状が出ます。
もしレモンバームに黒い点が出た場合は以下の様な方法で対処してください。
・水やりの回数を減らす(土が乾いてから水をあげてください)
・葉が茂り過ぎている場合、適度に葉を取って風通しを良くする
※梅雨の前後の時期はハダニが出やすいです。ハダニは乾燥して高温の場合に出るので、ハダニが出たら葉の裏側に勢いよく水をかけて洗い流して下さい。雨が当たる場所に置いておくと、ハダニも出にくいです。
水差しで簡単に株を増やす方法
レモンバームは、簡単に株を増やすことができます。
根元から伸びてくる芽を間引いた時などに、芽を水に浸けておきます。まだ柔らかい茎からは、芽が出やすいです。
水替えをしつつ生けていると、根っこが伸びてきます↓
根っこが伸びてきたら、土に植えればOKです。
この時、根っこがちぎれないように気を付けて、根が傷つかないように優しく扱って下さい。植えつけたらすぐ、しっかり水をやります。
こうすることで、1つの苗から10株20株とたくさん増やすことができます。
シソ科の植物だけあって、生育もよく、すぐ大きくなりますし、新芽もどんどん出てきます。初心者さんでも簡単に育てられるハーブですよ。
レモンバームチンキの作り方と抽出液
↑この写真はシコンをBG抽出した時の写真です。抽出の過程ややり方の詳細は⇒こちらで詳しく書いてます。
チンキ(ティンクチャー、エキスのこと)の作り方ですが、BGもしくはプロバンジオールによる抽出法、エタノールに浸ける、またはお酒に浸ける方法もあります。
基本的には、消毒した瓶などの容器に乾燥させたハーブを入れ、抽出液を入れてハーブが完全につかるようにし、2週間~1か月ほど冷暗所にてエキスを抽出します。
お酒に浸ける場合は、アルコール度数40度のお酒で漬け込みます。
無水エタノールを使う場合は、エタノール度数が40%になるよう精製水で割って使います。例えば無水エタノール40mlに対して精製水60mlなどですね。
BG(ブチレングリコール)もしくはPG(プロバンジオール)に浸ける場合は、BGもしくはPGと同量の精製水を使います。
例えばBG50mlと精製水50mlを混ぜあわせて抽出液とします。抽出液の中に完全につかる量のレモンバームを入れて、2週間~1か月ほど冷暗所にてエキスを抽出します。
必ずピッタリと密封できる容器で作って下さいね。
チンキを使えば簡単に手作り無添加化粧水が作れる
抽出が終わったら、コーヒーフィルターやオーガンジーの布巾着などで濾せば完成です。
出来上がったチンキは、私はいつも遮光瓶に入れてます。普通の便でも大丈夫です。冷蔵庫にて6か月間ほど保管できます。
化粧水を作る場合は、精製水100mlに対して、チンキを5ml入れるだけです。BGの場合はしっとりした化粧水に、PGの場合はサッパリした化粧水になりますよ。
化粧水にした場合は腐りやすくなるので、冷蔵庫保管で2週間ほどで使い切って下さい。
レモンバームですが、生のままより乾燥させてから漬けた方が失敗しにくいです。生だと水分が多いですから。
市販のものを買う場合は、レモンバームの乾燥させたもので、ハーブティ用のものを選びましょう。飲めるものであれば、肌に使っても問題ありませんので。
生のまま蒸留する場合は鍋蒸留がおすすめ
芳香蒸留水ですが、生のまま蒸留する場合、かなり量が多くなるのでナベを使った蒸留がいいかなと思います。
詳しくはこちらの鍋蒸留の記事を参考にして下さい。
↑こういった蒸留器を使う場合は、あまり大量にハーブを入れる場所がないので、一度レモンバームの葉を陰干しして乾かし、かさが減ってから蒸留するといいですね。
少し干すだけでも、かなり小さくなりますので、扱いやすくなりますよ。
メリッサ蒸留水から化粧水を作る
レモンバームを蒸留して得られた芳香蒸留水は、消毒した容器へ入れて冷蔵庫保管してください。3ヶ月以内に使いきります。
芳香蒸留水はそのままでも化粧水として使えますが、グリセリン・トレハロース・ベタイン・コラーゲン・ヒアルロン酸などの保湿成分を追加することで、保湿感のある化粧水になります。
蒸留水50mlに対して、グリセリンなら2.5mlまで。
トレハロースやベタインは0.5gほどあれば十分かと思いますが、お好みの使い心地になるまで増やしても大丈夫です。
レモンバームは多年草で寒さにも強いので、冬になって枯れたように見えても問題なく生きています。春になったらまた元気に育ちますので、そのままにします。
軒下など雨の当たらない場所に置いている場合は、乾燥しきってしまわないよう時々水をやって下さい。
冬の間は、雨ざらしにしていると管理が楽ですよ。